本ブログは、川上 竜太 監修
題名は「借用書」でも「借用証書」でも「和解書」でもかまいません。
その下の文言が一番大事です。その内容次第で和解書や準消費貸借契約になります。
新版注釈民法(15)債権(6)の§588Ⅱの第5節(2)の(イ)を参照すると、「契約の証書 準消費貸貸借に当たっては、借用証書の作成されることが多いが、これは証拠となりうるにとどまり、契約成立の要件ではない。また、この場合判例は、証書には既存債務に基づいて消費貸借を成立させるということ、すなわち、それが準消費貸借であることを明記する必要はなくーしたがってそのような証書でも準消費貸借成立推定の根拠となりうる」とあります。
上記からすると、一般的な借用書であっても準消費貸借契約の証拠となることがわかります。
そしてさらに実務的なことを説明すると、借用書で重要なところが、「期限の利益喪失(きげんのりえきそうしつ)」です。
支払いが1回(または2回の場合も)でも遅れたら一括で支払いしなさいという内容です。
元金の分割金(売掛金の一部)が一回でも遅れたら、残りを一括で支払えという内容です。
注意:過去の裁判でも実際に使えなかった借用書があります。
文房具店で売っていた、ある借用書の期限の利益喪失のところを抜粋すると、
「利息の支払いが一回でも遅れた場合にはただちに残金を一括で支払え」という内容です。
これはサラ金の業者を対象に作成されていたようです。
ホストの男の子はこれを買う際に文房具店の店員に「この借用書は裁判になっても使えますか?」と聞いたところ店員は「はい、法律家が作成みたいですので、使えますよ!」といったそうです。ホストはこの店員の言葉を信用して買ったそうですが・・・。
何がおかしいかわかりますか?
まず文房具店の店員は弁護士ではありません。というのもありますが、
たいていのホスト(少なくともうちのグループ)は売掛金に利息をつけずに分割の和解をします。
よって、そもそも「利息」の支払いがなく元金を分割で支払いするだけです。
この場合は、「利息」がないので、利息を遅れたわけではないので、残金を一括で支払いしてもらえません。
この場合は毎月払いの毎月1万円の支払いならば5ヵ月遅れていれば、遅れた分のみの5万円は請求可能です。
この場合は残金一括払いにはならないです。
このときの借用書は売掛がある事実を認めた証拠にはなりましたが、残金を一括回収できる証拠としては使えなったので、通常通りに伝票をメインの証拠として採用してもらい、さらに借用書の期限利益喪失のところに「元金」という記載はないが、そういう合意が口頭であったという陳述書を提出してなんとか勝訴しました。
✖:では利息をつければいいのか?
〇:利息は付けなくてよいです。(付ける場合は合法の範囲内でつけること。)
利息を付けないメリット
利息は付けずに良心的に利息カットでの分割払いのほうがスムーズに合意でき借用書も書いてもらえます。
また利息ないほうが早く支払いが終わります。
さらに訴訟提起後の裁判官の心証もよいです。
きちんとした借用書であれば、「元金」や「元利金(元金と利息)」というワードが入っています。これを使用してください。
またはこの川上ブログからもコピーできます。
ホストクラブの売掛裁判がはじまると、客代理人の弁護士の1割から2割未満が「これは金銭消費貸借契約であり、準消費貸借契約書と書いておらず、また根拠も不明であるために無効である」という趣旨のことを答弁書や準備書面で反論してくることがありますが、これは裁判では通りません。強迫による意思表示等がない限り有効です。
さらに心配な方は、(借用書と併用前提です。)
【旧債務の根拠について(飲食代金の売掛の詳細)】
可能であれば、どこのホストクラブ(できれば住所も書く)で度重なる飲食代金の内訳(例えば3回来店したらその3回の西暦か和暦を入れた日付と飲食代金、さらに一部支払いで一部売掛ならその旨)を書いてください。
さらに伝票がすぐにない場合で飲食日の正確な日付がわからない場合には、包括的な月で書いても大丈夫です。
旧債務については、あくまでも可能であればでいいです。また録音をしてください。
(根拠を書かない普通の状態で、借用書を書いてもらっても有効です。ただ根拠も書けば誰も反論しないというだけです。)
借用書の裏または別紙に、(可能であれば、割印か割サインも)
例、日付が正確にわかる場合!
ホストクラブ KAWAKAMI(東京都新宿区歌舞伎町2-2-2-カワカミビル5F)の飲食代金
2018年1月20日
飲食代金10万2千円
(2千円支払いし残10万円が売掛)
同年1月23日
飲食代金15万3千円
(3千円支払いし残15万円が売掛)
同年2月20日
飲食代金17万5千円
(5千円支払いし残17万円が売掛)
合計42万円が売掛であり、その金銭を準消費貸借契約とした。
偶然、歌舞伎で客を発見して、書いてもらう場合、たいてい伝票は手元になく写メも保存してない場合があります。
例、日付が、だいたいしかわからない場合は包括的に書いてもOKです。
ホストクラブ KAWAKAMI(歌舞伎町)
2018年1月~2月までの飲食代金総額の売掛42万円を準消費貸借契約とした。
また再三に川上ブログに掲載していますが、録音を録ってください。
そこで旧債務
【どこのホストクラブの売掛で残金いくらか?】
についてきちんと客に伝えてください。
さらに
【きちんと売掛は認識していたかどうか?】
についても確認してください。
Aケース(録音で良い例)〇
ホスト「ホストクラブ〇〇〇の売掛100万円覚えてるよね?」
客「うん、知ってたけど、体調不良で遅れてた」
Bケース(録音で悪い例)✖
ホスト「ようやく見つけたよ!何、逃げてんの?金どうすんの?金返して!風俗まだやっての?とにくかく早く借用書を書いて!今すぐにやれ!今すぐにだ!早く!早く!コラっ!」
客「(泣)書くから許して!」
(さらにホストが客の腕を掴むまたは客の頭を叩いたらもう後の祭りです。)
Aケースは旧債務について、きちんとホストクラブの店舗名まで出して、さらに売掛の事実と、残りの金額をきちんと客に説明し、客も認識していることが確認できます。
Bケースはもし、客が逆に録音していたりまたは録音なくとも、客が裁判で陳述書や当事者尋問に出廷して陳述すれば、ホスト側が負ける可能性が充分にあります。それどころか強迫により無効、または刑事で恐喝未遂にもなるかもです。そうならなかったとしても、Bケースは、第三者が聞いた場合に、どこの借金について話をしているのか全くわかりません。
客も「どこの借金かわからなかった」と平気で嘘を言ってきます。
ホストが移籍した新しいお店での売掛か、また単に、こずかいを毎月せびりたいために借用書を書かせている可能性もあると思われます。
実際に他のグループホストでは客から裏引き(おこづかいをもらうこと)をするために借用書に書かせていたこともありました。
(今後の贈与契約を借金にして借用書を書かせていた。)
Bケースでは客の主張が認められれば、ホスト側が敗訴します。それどころか逆に訴えられる(反訴)の可能性があります。または既にその書面が債務の承認にもならなければ、伝票のみを根拠にして、時効であれば、時効を援用されホスト側が敗訴します。
Bケースは百害あって一利なしです。💀💦
【客の代理人弁護士がよく主張してくる用語】
■強迫による意思表示は取り消すことができる(民法96条1項)
■脅迫(刑法222条)
■錯誤による無効(民法95条)
【よくあるケース】
ホストが「まさかあいつが飛ぶんなんて」「一緒に住んでいたのに」「なんで?」というのをよく営業終了後に聞きます。客はいつまでも疑ってください。恋人であったとしても家族であっても母親であっても疑ってください。もちろん母親は自分の店にくることはまずないですが、もしきても違う人を指名すると思いますが、それぐらい親しい人でも最後まで疑ってほしいという意味です。
飛びそうなら借用書を書かせてください!また写メも撮って、クラウドに保存しといてください。
過去に同棲していて、借用書を持って逃げた客もいました。
【弁護士はリーガルアーティスト】
法律ではいろいろな表現があり、様々な書面での作成と表現ができます。
法解釈は正しい法律知識と経験により洗練されていきます。訴訟は技術です。
最後は裁判官の判断ですが、弁護士の技術にすべてがかかっています。
ホストで弁護士に依頼される場合にはこのサイトもおしえてあげましょう。